公益社団法人 生体制御学会
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講習会紹介

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講 師 生体制御学会 名誉会長 黒野保三先生
平成24年3月4日

 黒野保三先生が「医道の日本」2012年1月号に投稿されました「鍼灸医学の行方」から、鍼灸界の現状を説明いただきました。
「平成14年の小泉内閣はWHOから、日本の鍼灸が遅れていることから日本の鍼灸の質をあげることを要請されました。現況をみたところ鍼灸界ではどうにもならないと判断し、医学部で東洋医学教育をすることを法制化し、WHOへの返答としました。しかし、その結果、10年経過した今でもその成果はみられていません。このように、政府では実際のことを知らない人の間で話し合い、鍼灸師のためにやるわけではないので、あてになりません。それに対抗するには各々がレベルアップするしかなく、そのことをすべて理解して卒後教育を行っているのが本学会であります。」と教えていただきました。
次に「サイエンスとしての鍼灸医学」のまとめとして系統立てて教えていただきました。
「現状の鍼灸界はサイエンスとしての鍼灸が行われていないため、世界に通用しません。例をあげると鍼灸医学は三千年の歴史を有する伝統鍼灸医学であり、経穴、経絡を用いて未病治を行うといいます。言葉ではこのように書けますが実体は説明できません。では、サイエンスとしての鍼灸を行うためにはどうしたらよいのでしょうか?次のプロセスを知る必要があるでしょう。@総説がかけるような系統的な研究をし、A研究したものから学問をつくり、B医療家である我々はそれを医学として用い、Cその中の東洋医学を用いて治療をおこなうわけです。我々は治療の現場での経験・現象・古典という価値をもっていますが、残念ながらサイエンスになっていないと言わなければなりませんが、この学会は鍼灸に関わるものを実証医学的に検証していくこと目的としております。
私個人の研究ですが、合谷という経穴の研究は、その経穴の深さをみつけ、その部位を効率よく刺激する方法をさぐり、それによっておこる生理反応や免疫反応を証明し、鍼が刺さってから修復するまでの過程を系統的に研究してきました。これこそ鍼灸の研究として系統立てられた研究の代表例です。そして、このような過程を知っていて治療するのと知らないで治療するのでは、臨床の質が変わるのは当然であります。この学会はその主旨を達成するために着実に一歩一歩前進しており、多くの方からの支持をしていただけるようになりました。」と説明いただき、今後学会が目指す方向を示唆していただきました。



講 師 生体制御学会 名誉会長 黒野保三先生
平成23年11月6日

 今年の大きな事業が終了し、本年の講習会も最後となりました。生体制御学会では、10年20年先を見据えており、黒野保三先生に今なすべきことについて示唆いただきました。
「去年までは、統合医療、代替相補という言葉が世間をにぎわせました。その証拠に、昨年の3月には統合医療の研究に10億円もの国家予算がついたのは記憶に新しいところです。しかしながら、わずか半年の間にまったくその声を聞く事がなくなりました。これは、私から見れば当然と言わなければいけないことです。
 統合医療というのは近代医療と一緒になってディスカッションして行うものです。例えば、この患者さんに対しては鍼治療を先に行った方が良いなど、何を優先して行うかということが判断できるシステムが確立していないといけません。しかしながら、このディスカッションを行う土俵にあがれる鍼灸師がどれだけいるでしょうか?ディスカッションをするためには、医療に対する知識や認識が同等でないと無理であります。
 残念ながら、鍼灸界では、日本の中心の学術団体でさえ、首を傾げなければいけないことを発言しております。特に、日本の鍼灸を世界に発信しなければいけないということを宣言しております。では、日本の鍼灸とは何でしょうか?他の国と何が違うのでしょうか?
医療がベースにあるならその基礎は共通であるため、日本の鍼灸が特別であるということはありえません。また、日本の鍼灸もまだまだ、検証しなければいけないことばかりです。総論を話すことは非常に耳あたりがよいですが、実体がなければ何も進まないのです。この五十年をみればそれはおのずと理解できると思います。
 また、先だって東京大学医学研究所を中心としたグループが医療崩壊の指数を提示しました。25年後にはきちんとした診療を受けられる患者は、現在の半分になるというのです。そして愛知県はその崩壊率が全国の4番目と予想されています。
 このような医療崩壊が予想されている中で、本来は鍼灸師が受け皿になるべきです。受け皿になるには、最低限でも医療の中で共通の土俵にのぼれる知識と認識を身に着けなければならず、そして着実な実績が必要であるのです。現在その場所は、この生体制御学会であるといっても過言ではなく、その証拠も提示できるのです。」と教えて頂き、今後の鍼灸界、鍼灸師としてあるべき姿を示して頂きました。



講 師 生体制御学会 名誉会長 黒野保三先生
平成23年10月2日

 定例講習会の前に、8月28日に開催された第29回生体制御学会学術大会に対するお礼の言葉を述べられました。各方面から、この学術集会の演題、講演内容は基より、学会運営がすばらしいと評価されていることが報告されました。この学会のように、一般社会でもみられない秩序が正しく行えている団体はなく、学術団体としての歴史、業績、規模が評価され、愛知県の教育委員会から推奨されました。このような学会の会員は高度な資質を問われますが、この学会が目指している方向からすべての謎を解くことができます。そのことについて示唆いただきました。
「この学会は医療人として治療を行う人の集まりです。これからの医療はチーム医療です。チーム医療の一員として、医療の水際を任されるべき鍼灸師にならなければいけません。残念ながら、現在の近代医療の水際は崩壊に向かっています。例をあげますと、大学の付属病院の閉鎖が決まったり、来年の医療改革によって法律が変わることによる勤務医と開業医の対立があげられます。これでは、この先どうなっていくか分からないし、明らかに利害関係に目線が向いています。国民の目線から考えれば、我々鍼灸師が、一致団結して、精度の高い治療を提供できれば、国民から信頼されることは間違いありません。それには、今信頼に足るための勉強をしなければなりません。
生体制御学会で行われる鍼治療にはすべて基礎研究の裏付けがあります。つまり、生体制御学会では神経生理学を中心とした生理学を基として、それに付随する自律神経の機能や免疫学の基礎医学をベースにした治療法の構築を続けており、これを継承しています。これには、私が1956年に、黒野式全身調整基本穴という生体制御を行う治療の経穴を選定した時から、一貫して行っており、医師をはじめとしたどの分野の人にも共通した基盤にのっているので、信頼が置かれています。鍼灸治療は、ここ40〜50年続いた、鍼麻酔によるブームで有頂天になっていた過去と違って、今は氷河期といってもいい時代に入っています。しかし、今後20年先を見据えて、本当に信頼される水際の医療を作れば、一般の人たちは自然と頼ってくれる時代がきます。今、着実な勉強をしておけば、その時に確かな位置で診療ができます。」と教えて頂き、この学会の価値もあらためて示されました。




講 師 生体制御学会 名誉会長 黒野保三先生
平成23年7月3日

 今年度最初の講習会ですが、昨年までと一変したことがあります。それは、鍼灸医学、東洋医学、統合医療などと言う人がいなくなったことです。このことから鍼灸の立つ位置について示唆いただきました。
 「昨日、日野原重明先生のご講演を聞く機会がありました。以前からチーム医療の大切さを説き、これからのチーム医療は医師や看護師などの医療従事者だけではなく患者の家族を含めたすべての人々が関わることを説いております。2年前まではこのお話をされるときにチームの中に東洋医学という言葉や東洋医学に従事する医療関係者についても含まれていましたが、今回は、はずされていました。では何故はずされたのでしょう?この答えは誰かが東洋医学をはずしたのではなく、我々東洋医学に関与する者が努力しなかったことに他なりません。
 私は50年前に鍼麻酔がブームになったとき、中国との国交回復後初めて、中国から医師団を招聘し、また、東西両医学の協調を目的とした日本鍼灸医学会を立ち上げ、(社)全日本鍼灸学会を設立し、その地方会として愛知地方会で講習を行ってきました。そして、その事業が継続され、現在の生体制御学会があります。この学会の特徴は、必ず裏づけのある研究を基にすべてのことを行うということです。その研究結果には嘘偽りがありませんので、すべての実績が積み上げられていきます。つまり、この生体制御学会は言葉だけが独り歩きすることはありません。
 それに反して一般の世間では東洋医学の言葉だけが実体のないまま独り歩きをしております。そして、東洋医学に期待して過去にこの言葉を使っていた人たちは、その実体がないことから呆れられてしまったのではないでしょうか。このままでは、先はありません。正しい情報は必ず裏づけがあることを知らなければいけませんし、その発信を行う信頼ある学会にならなければなりません。 また、逆に多くの情報から正しいものと正しくないものを取捨選択する必要があります。それには、正しい場所での勉強しかありません。」と教えて頂きました。
 次に「サイエンスとしての鍼灸医学」のお話をいただき、この中でも、「筋膜上圧刺激」という鍼治療の方法を提唱され、論文として投稿され、アクセプトされ掲載されました。この一つのことを証明し、発信するにもその裏づけの研究や論文がたくさん必要であることが示めされ、この学会がもつ価値を示していただきました。







講 師 生体制御学会 名誉会長 黒野保三先生
平成23年4月3日

 講義の最初に先立ち、3月11日に起きた東日本大震災の犠牲者に対して黙祷が行われました。そして次のような示唆を与えてくださいました。
「災害に被災された方には、心からお悔やみを申し上げます。この度被災された方々の助け合いの精神や礼儀正しさが、各国から賞賛されたことは記憶に新しいと思います。日本人は日本の精神文化を持っており、ならず者が横行している時代において溜飲が下がる思いでした。一部の政府官僚も見習って頂き一歩一歩着実に行っていくことが、いままでインチキをしてきたことを正す唯一の方法であるということを改めて認識できたと思います。
 次にサイエンスと鍼灸医学についてでありますが、これも精神は一緒です。一歩一歩基礎から積み上げたものしか医学にならないことは明らかですが、特に鍼灸界ではそれは明らかです。まず最小限、このことが本当のことか嘘のことかを見極めることが大事であり、それを間違えたときにはすぐに認め謝らなければなりません。
 例えば、鍼灸医学は三千年の歴史を有しているとよく言います。本来医学は進歩発展していくはずのものですが、歴史を有しているからそのままでいいということは医学としてはありえません。また、鍼灸に歴史があっても、今治療を行っている先生が歴史がある治療を用いても、その先生自身にその歴史があるわけではありません。また、伝統鍼灸医学という言葉も聞きます。本来、伝統鍼灸医学はそのまま継承するのが良いわけではなく、現在にいかせるようにするのが伝統鍼灸医学であり、古典を鵜呑みにするわけにはいかないのです。また、鍼灸界で一人歩きしていて中身がない言葉には、未病治、経穴、経絡、五行説、癒しの治療など数え切れないほどあります。こういう中身がない論法では本当の鍼灸の発展はありません。そこで、鍼灸の科学科を行っていくのが学術団体である当学会なのです。
 ここで、もう一度何をやっていくのかを明らかにするために、研究・学問というものの定義を明らかにしておきたいと思います。研究とはよく調べて真理を究めること、実際に調べて証明すること、論ある仮説から論理的に導き出された結論を、事実の観察や実験の結果と照らし合わせてその仮説の真偽を確かめること、学問とは明らかになっていないものを研究し検証した結果を民衆に公開し認知された理論を多角的に検証し辞典に掲載されて体系化した理論をひとつの学問というのです。
 これに基づいて只今研究を継続しており、効果的な鍼治療の方法について、世界に向けて発信したばかりです。このような手続きをとった研究は必ず積みあがっていくものであります。」と教えていただき、今後のこの学会の指針を示されました。