公益社団法人 生体制御学会
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講習会紹介

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講 師 生体制御学会名誉会長 黒野保三先生
平成21年4月5日

 
 平成21年4月5日に一般社団法人生体調整機構制御学会の設立記念公開講演が「生体調整機構と鍼灸診療との関わりについて」と題されて行われました。たくさんの出席者に対するお礼の後に講演に入られました。
 「近年の医療の発達はゲノムの解明などに代表されるように、ゆるぎない進歩の方向に進んでいますが、医療の現場や医療行政は生命科学の発展と比例しているとは思えません。特に医療の水際では、医療崩壊や、時には目や耳を覆いたくなるような報道が後を絶たず、今後の医療行政に不安を感じている人が増えてまいりました。そのような時代において医療崩壊の防止のためには医療連携が期待され、その一端を担うものとして統合医療・代替相補医療という名があがってきているのも事実です。
 さて、そこでヒトの成り立ちを考えてみますと、60兆といわれる細胞を持つわけですが、その一つ一つにも調節機構を持ち、それらが集まった組織でも調節機構を持ち、その上の器官でも調節機構を持ちヒトとなって生命活動するわけです。その調節機構がうまくいっているかいないかによって、健康か病気かをみることができると思います。しかしながら、そのメカニズムについて未だ集学的な研究が行われていないのが現状です。そこで、生体調整機構にかかわる過去、現在、未来についてみていこうと思います。
 鍼灸診療に来院されている患者さんをみてみますと、いろいろな症状で来院されます。そして長期に治療されると自分で変化を感じられるのみならず、第三者から評価されるようになります。その病態は器質的疾患(例えば肝臓病)のみならず、器質的疾患はないけれども症状があるという場合にも有効であることを示すことができました。このような現象があるということは、おのずからその根拠があるはずです。しかしながら、まだ鍼灸現象は未科学の部分があります。自然現象には必ず自然科学理論があるはずです。一方、自然現象がありながら現在の科学では解明しきれない、いわゆる自然科学では計れない基礎理論があります。つまり、@自然現象に対する仮説を立てるA自然現象に対する仮説を検証する実験計画を立てるB実験と結果を繰り返し正しい結果を出すC結果を基に考察し結論を見いだすという手続きを踏むことが必要になるわけです。
 その一つとして鍼灸治療の根本である経穴についてでも未だに説明すらできないのです。私が行った経穴の研究でやっと経穴の有効的な深さを示唆できているに過ぎないのです。そこで、鍼一本を刺入した時の生理学的反応、免疫学的反応や組織再生の仮説もやっと始まったといったところです。しかしながら、1980年から6回続けて学会発表した免疫の研究から肝臓や膵臓の臓器の変化や長寿に関与するデータなど明らかにすることができたことも事実です。また、心拍ゆらぎリアルタイム解析システムから自律神経に影響をあたえることができたことも事実の一つです。
 このような、すばらしい結果があるにも関わらず、研究が進まない要因がもう一つあります。つまり、鍼治療には修練がいるということです。どうしても若い鍼灸師で行うと刺鍼のばらつきがあります。それを工学部の先生と数値化したデータで解析しますと明らかに熟練者との差がでます。しかしながら、今までどのくらいの修練が必要かという議論さえできなかったことが、種々の分野で検討することによって推定できるレベルまでくることはすばらしいことであります。
 このような鍼灸医学を有効に使う手段がこれから必要となります。鍼灸と一般西洋医学のどちらかが必要ということではなく、すべては患者のためにどのような治療体系をとることが必要かということが大切になります。その時に、集学的な研究によって鍼灸の価値や必要性を認識させるほどの一つの基盤となるのがこの生体調整機構制御学会となります。」と発足にあたっての講演がなされました。
 非常にわかりやすい内容で参加された医療関係者のみならず、一般の患者さんからも鍼灸治療についての認識があがったとの声を頂くことができました。


 
講 師 愛知地方会名誉会長 黒野保三先生
平成21年3月1日

 
  (社)全日本鍼灸学会愛知地方会は、1972年に発足してから、全国の(社)全日本鍼灸学会の地方会の中心をなしてきました。この地方会が本部の組織再編によってなくなることが決まりました。そのことについてと、今後の展望についてお話を頂きました。
「地方会がなくなるということで、(社)全日本鍼灸学会愛知地方会という名称は使うことができなくなりました。 そこで、百年を見据えた名前で、鍼灸治療が医療の一つであることを目標に一般社団法人生体調整機構制御学会という名称にすることにしました。これは本日行われる愛知地方会の常任幹事会で愛知地方会を解散し、新しい会の理事会への移行を予定しております。
 そこでもう一度、鍼灸治療を行うということはどういうことかと考えてみます。鍼灸治療は恒常性維持機構(ホメオスターシス)、免疫機構、自然治癒力機構を高めていく治療です。また精神的には癒しを行うという機構もあります。これらの機構を調整するのは何も鍼灸治療だけではありませんが、現在のところ鍼灸治療の得意分野であることも事実です。このような生体調整機構をあらゆる角度から研究していこうということが主旨です。当然、鍼灸という言葉をいれたらどうだという意見もいただきましたが、鍼灸だけを行っている人でしか分からない言葉での会は学会にはなりえず、勉強会になってしまいます。それでは、世間にアピールもできませんし、忘れ去られます。
 一つの例として2月26日の新聞に愛知医科大学に設置されている痛み学講座の存続の危機についてのニュースがありました。この痛み学講座は全国にはここだけにしかなく、最近においては慢性疼痛の疾患モデル動物の完成など期待された講座でした。また、そのような疾患に対する理学療法士の教育の場がなくなるという記事でした。講座がなくなる可能性があることは当然悲しいことですが、この新聞記事のなかでは理学療法士のことは書いてあっても鍼灸師のことは一言も書いてありません。慢性疼痛に関する治療は鍼灸の得意分野の一つであるはずですが、世間での認識はこの程度であるということなります。
 以上のことを考えてみても、世間から高度な位置付けをされるためには、高度な医療を提供しなければならなく、勉強は欠かすことができないということになります。また、外に向けて発信するためには、仲間以外のところにもアピールしていかなければならないということも明らかです。この生体調整機構制御学会には以上の意味が含まれています。オープンな学会ですので、是非とも参加していただきたいと思います。」と説明頂きました。
 続いて再生医学について講義を頂きました。再生の周期やクローンの原理について説明がありました。一見関係ないような再生医学は非常に鍼灸に関係があること、また直接関係がないと思われる多種にわたる情報も、正確に理解することが必要であると説かれました。この正確に理解することが柔軟な発想の基ともなることを教えて頂き、生体調整機構制御学会の価値を再度説かれました。

講 師 愛知地方会名誉会長 黒野保三先生
平成21年2月1日

 
 本年最初の講習会です。昨年の最後の講習会からわずか3ヶ月しかたっていませんが、この3ヶ月で世界が100年に一度という急変が起きました。このことから現況を説明いただきました。
 「大変な時代といわれますがある意味において喜ばしいこともあります。5000年前からならず者の世界がはじまり、特に第2次世界大戦後のアメリカではならず者が謳歌しており、それが現社会の不安定な状況を作り出したのは公然の事実であります。オバマ大統領の就任によって少しでもこの体勢の方向転換の可能性がみえたことは、非常に期待の持てるところです。日本人にはもともと持っている精神や心がありますので、それを中心に考えていくと世の中の状態もみえてきます。しかしながら、その観点から考えますと、現在の鍼灸の世界は不安定であります。
 鍼灸が二極化しており、鍼灸の免許が単なる商売の免許になっているという一面とそうではなく高度な医療として行っていくという一面があります。当然、高度な医療となるには高度な医学の裏づけが必要ですが、古典文学を医学だと錯覚してきた部分を否定できないでいます。これでは、世界の鍼灸が発展してきている中で、日本の鍼灸が取り残される大きな危険を含んでいます。この現状に対して愛知地方会ではすでに動き始めています。
 昨年の12月8日に生体調整機構制御学会の一般社団法人の認可がおりました。そして昨日、臨時役員総会が行われ、今後の方針を話し合いました。まず、この学会がなぜできあがったのかということですが、地方会をなくして大きな枠組みを作るということでしたが、それに伴って地方会がなくなることから、卒後の勉強の場の存続を求める声があがりました。そこで社会から認められる学会を作るべきという認識で学会設立を行いました。 この学会は完全にオープンな学会で誰でも参加できます。そのことには以下の理由もあります。
 この生体の調整機構は鍼灸の独壇場でした。しかしながら、この機構を制御するのは何も鍼灸のみではなく、いろいろな分野において可能なことがわかってきており、そこでどの方法で行ったらどこが鍼灸治療より良いか悪いかを検討できます。そのことによって医療に良い影響を与えるのみでなく、鍼灸の治療仮説の発展も期待できます。そのような学会の設立に対してはいろいろな大学の諸先生方の同意を得、たくさんの先生方に顧問、相談役や監事などをお引き受け頂きました。
 これは、いままでの愛知地方会の発展的改称であり、この一般社団法人生体調整機構制御学会が発展することが望ましいと考えます。この学会ではいままで鍼灸治療が医療でないと言われてきたものを医療にしていくということが責務であります。
 では具体的に何を行うかという時期にもう一度研究や勉強の方法をみてみましょう。鍼灸現象は未科学と言われています。しかしながら、自然現象には自然科学理論で説明できるもの、自然科学で計れない基礎理論によるものがあるためにその自然現象自体が正しいものか正しくないものかに大別しなければいけません。ですから、実際に鍼灸の臨床の現場で得られる膨大な現象を捉え集めることで、自然現象に対する仮説を立て、自然現象に対する仮説を検証する実験計画を立て、実験と結果を繰り返し正しい結果を出し、そこから考察する手続きをするのが研究であり、学会としての本質であります。」と教えていただきました。
 また、次回から各論に入る「再生医学について」を理解する基礎である、鍼の治療仮説について説明頂きました。

 
講 師 愛知地方会名誉会長 黒野保三先生
平成21年2月12日

 
 先月のこの会で、未病システム学会から鍼灸がはずされていることを説明していただきました。そして、その現況から現在おかれている状態を説いていただきました。
「現在、未病システム学会が開催されていますが、そのポスターや講演要旨を見てみますといろいろなことが書いてありますが、これはもともと鍼灸師であればすべて知っていることであります。その専門領域である鍼灸師がその専門ではずされているという現実を認識しなければなりません。自分達の職種が他からどのように評価されているかということを知っていなければなりません。
 最近、医師不足が言われていますが、本当に数が足らないのではなく、偏っていることが明らかになっています。医療過誤が起こるのは人が少ないことが原因とされていますが、基本的にはチェック機構が崩壊してきているからです。つまり医局制度の崩壊による師弟関係の崩壊が原因といえるのではないでしょうか。これは医師だけの問題ではなく、鍼灸師の方がもっと問題となっています。鍼灸には明確な基準がありません。ということは自分のレベルによってしか自分を評価できないということです。体を診るレベルに達していなければ治療して治っても偶然の結果論だということです。体が診えるか診えないかが第一であり、知識が増えるだけでは、現場の臨床では役に立たないということです。私は43年前に想定したのが、医療崩壊も想定できましたので、地域医療の一端を担うのが鍼灸師になるべきだろうという思いで、鍼灸師の勉強会としての地方会を立ち上げたのです。しかし、現状の鍼灸師のレベルは理想とはかけ離れ、世間から見放される現状になっています。
 やはり、自分のレベルだけで判断することは困難であり、師匠と師弟関係の人間関係を持つことによって高いレベルからチェックしてもらえ、常に緊張感を持つことから成長する、というあたりまえのことが普通にならなければなりません。
 レベルが違えば同じ情報をもらっても正しいことがみえません。分かりやすい話をすればプロゴルファーでもプロと名はついていてもその中での差は歴然で、永久シードの資格を持つものはわずか7人しかいません。また、世界的な話をすれば、サブプライム問題を解決するために自国(アメリカ)で処理する問題を、言いがかりをつけて世界からお金を集めるということを平気で行っているということもあげられます。
 つまり、新聞などの情報もわれわれが勉強していることも、すべて真実の探求が目標なのです。その前提として自分のレベルを上げるためのチェックが必要ということを再度申し上げます。」と説かれました。
 次に、再生医学の基礎を話して頂きました。「特に鍼灸の研究には解剖・生理といった基礎医学が重要であり、臨床の現場でどう活かせるかということが重要です。また、知識というのはとどまってはいないので、過去の知識と現在の知識を如何に鍼灸の理論に当てはめることができるかという視点が重要になります。今回は特に表皮と再生医学について説明します。結果から申しますと、表皮は今まで重要視されていませんでしたが、表皮で感覚の受容が行える事実が証明されたことで、鍼灸の治療メカニズム解明に大きく寄与できる可能性がでてきました。このような生体の感覚に対し、刺激量の正しい質と量をコントロールできることが重要であります。」と教えて頂き、正しい情報の捉え方とその活かし方の指針を与えて頂きました。


 
講 師 愛知地方会名誉会長 黒野保三先生
平成20年10月5日

 
 今年の7月まで脳科学と鍼灸医学についてお話を頂きましたが、まだ太極療法について理解をしていない人が多くいるため、このことについてお話を頂ました。
 「私は過去に病理学的徴候がなくても症状が存在するいわゆる無徴候有訴群患者に対する鍼治療の有効性を報告し、不定愁訴、糖尿病をはじめとする様々な疾患に対する鍼治療の臨床研究を報告しました。その間、基礎的研究として日本で初めて鍼治療による免疫機能の変動を1980年から6回にわたり論文報告を行いました。また、慢性肝機能障害に対する基礎的研究や臨床的研究を行い、鍼治療が肝細胞の再生に有効であることを報告しました。また、マウスの一生(2年間)を週に2回の鍼治療を行い、組織学的所見から鍼治療が老化防止に有効であることを報告しました。
 これらのことは鍼治療が生体の恒常性維持機構、免疫系維持機構、自然治癒機構を活性化させる証拠をあらわしたものです。
 近年の脳科学の進歩から私は、上記の恒常性維持機構、免疫系維持機構、自然治癒機構を制御している上位の制御系として統合的制御機構の存在を想定しており、鍼治療はこの統合的制御機構を活性化させる最善の手段であると考えています。そして統合的制御機構の活性化を目的としたのが太極療法(生体機構制御療法)であると思います。」と解説されました。
 次に、平成20年9月6日に朝日新聞の記事で柔道整復師の養成学校で無資格の教員が教えている実態が掲載されたことをふまえ、鍼灸業界も襟を正して進まないと大変なことになると述べられ、その例を以下のように述べられました。
 「日本心療内科学会に入会するための業種選択に看護師や柔整師はありますが、私達の鍼灸師という項目がないという事実があります。このことはこの学会だけではなく、日本糖尿病学会や心身医学会でも何か資格をとろうとしても鍼灸師だけがはずされています。鍼灸師の養成学校の定員割れで経営できないといった実態などから社会通念として鍼灸師は資格所有者ではないという証ではないでしょうか。
 日本医師会が総合医の認定を開始し、地域医療に貢献する幅広い医師を総合医としていますが、これは私達鍼灸師がすでに行っていることですので、このことに対して手を挙げたいですが、現在の実態からみて手を挙げられない状態なので残念です。今後は堂々と手を挙げられるように努力して頂きたいと思います。」と述べられ、最近の実態を教えて頂きました。
 また、ラットの脳細胞の信号によってロボットを動かし人間の代わりをするという研究の報告やiPS細胞の報告から、鍼灸治療に応用して役立てることができる旨の説明を頂きました。
 最後に今回からお話を頂く「再生医学について」を講義して頂きました。
「今まで、鍼灸治療の刺激の入力系は真皮が関係しているというのが一般的でした。しかし、iPS細胞の存在が明らかとなったことから表皮がクローズアップされ、再生医学とはまさしくこの部分であり、この部分に与える鍼刺激の質と量が問題になる。」というお話を頂き、鍼刺激の入力系の新たな考え方を教えて頂きました。


講 師 愛知地方会名誉会長 黒野保三先生
平成20年7月6日
 
 3ヶ月ぶりになりますが、その間に(社)全日本鍼灸学会学術大会が京都で開催されました。そのことからいろいろ教えて頂きました。
「学会において愛知地方会は他の地方会を圧倒するだけの演題があり、学会の記録として撮られた映像にはその記録が残されています。ホームページもしかりですが、このような記録が残され継続されている地方会は他にないことは周知の事実です。その価値観がクローズアップされる時がきていることも自覚していただきたいと思います。
 この価値観が必要となってくる裏づけのニュースとして6月1日の朝日新聞に、柔道整復師(接骨)の不正請求についての報道がありました。内容は1回の治療で3〜4箇所の部位の施術に対して請求を行うということです。また、世の中では鍼灸接骨院というように鍼灸と接骨が同等にみられているという事実も、専門誌が鍼灸接骨院という言葉を使うところからもみてとれます。このような現実に対して鍼灸だけが良いということはなく、カルチャーセンター並の学校が乱立し、鍼灸師の質の低下が懸念される中で、価値ある鍼灸師となるには確固たる実績とともに継続して行う勉強の必要性があります。その点においては愛知地方会の功績は顕著であり、今後ともその必要性については疑う余地はありません。
 しかしながら鍼灸が本当の意味で発展するようになるには、鍼灸の専門の大学が中心となっていかなければいけないはずですが、現実にはそうはなっていません。国は医学部での東洋医学の講義時間などの充実をはかり、統合医療の超党派の議員連盟を作るなど東洋医学に期待している観はみてとれるのですが、鍼灸師に期待している観はみてとれません。このような情報を皆さんにお伝えして責任を持って行っていかなければ専門医としても価値がなくなることを自覚して頂きたいと思います。」と説かれました。
 続いて、「脳科学と鍼灸医学」について講義して頂きました。
 「今回が脳科学と鍼灸医学については最後になります。とにかく質と量ともに良い鍼刺激をすることが脳の記憶について大事なことであり、いい記憶でなければ良い治療効果は望めません。臨床上の良い効果を継続させるためにも、再度述べますが勉強してその価値を知り研鑚することしかありません。
 次回からは再生医学と鍼灸の関わりについて講義したいと思います。」と述べられ数十年に亘っての鍼治療仮説が医学知識の発展により証明されてくることがあらわされました。
 

講 師 愛知地方会名誉会長 黒野保三先生
平成20年4月6日
 
 3月20日に(社)全日本鍼灸学会評議員会において地方会を廃止するという組織再編成の提案がなされ、評議員会で承認されました。これまでの経緯から現状の説明がありました。
 「(社)全日本鍼灸学会の定款は私が当時の文部省と交渉し、会の将来をにらんで作ったものであります。学会というものは、会員が研究し、その研究や発表の場であり、その発表した内容を論文として残すのが本来の姿です。そのことから考えますと、地方会は必要ないということでありますが、特にその当時においては他の医学会と違って卒後教育をして会員の資質を向上することが急務でした。そのため文部省との折衝を繰り返し、支部の存在と地方からの意見を反映させるための代議員制度となる評議員会の必要性を認めていただき、定款ができあがった経緯があります。
 現在、文部科学省から(社)全日本鍼灸学会に対し公益法人としていくために、地方会のお金の流れなどをすべて把握する義務を負うことからその責務を履行することが不可能である理由によって支部の再編成を強制するに至っております。しかしながら、このことが本当に会員のためになることでしょうか?疑問が残ります。
 愛知地方会では正しいことは正しい、間違ったことは間違ったこととして整理することを前提としております。そして、どこに行っても自分の意見を言えるようにしております。代表としていく人の意見は会の総意であり、会の看板を背負っております。しかしながら、意見が通らなかったといって大意にそむくことでは大儀にならないとも認識して行動しております。愛知地方会では勉強の必要性を認識しておりますので、このような場を今後とも継続していくつもりです。
 このようなご時勢において、現在大きな問題が起きております。超党派ならびに民主党において統合医療の普及や推進を目的とした議員連盟の会ができております。しかし、統合医療を本当の意味で理解して頂き、歴史的事実を認識した上で行って頂かないと、とんでもないことになります。国の予算を使って行う以上、医療財源を効率よく運用できるようにする、国民が本当にかかりたい医療にかかれるようにすることは最低限のことですが、日本の実情も考慮しなければ困ります。どうしても統合医療というとアメリカをみて行う場合が多いと思われますが、根本的にアメリカと日本では資格制度が違います。統合医療にはハーブ、アロマやアーユルベーダと鍼灸、按摩や柔道整復が含まれますが、国が養成機関を設けて国家試験を行っているものとそうでないものとでは同じ土俵で考えることは不可能なことであります。鍼灸医学には科学的根拠があります。
 しかしながら、鍼灸界がこの現実を受けて、それだけの違いがあることをアピールした時に鍼灸師のレベルが上がっていなかったら、統合医療の中での地位もなくなります。長年、愛知地方会として行ってきた勉強の意味と価値を理解し、今後どのような形となろうとも、勉強しない者が良くなるということはありえません。」と再度説かれ、指針を与えて下さいました。